さくらの記憶
「さくら、今度のミーティングで提出する資料なんだけどさ。建て替え中の物件についての資料、もう少し詳しく欲しいんだ。間取りや設備だけでなく、構造や施工会社も載せて…」
「んー、それなら栗林さんより、川崎さんに頼んだ方がいいかな。私、電話してみるね」
「ありがとう。頼む」
小さな事務所で向かい合い、北斗とさくらはプロジェクトに関する仕事を進めていく。
さくらはデスクで、東京の古巣の社に電話をかけた。
「あ、お世話になっております。神代不動産の神代 さくらと申しますが…」
「うおー、さくらちゃん?!ついに来たよ、社長夫人からのお電話が!」
「ちょ、ちょっと、川崎さん!そんな大きな声で…」
すると、電話口に栗林が出た。
「もしもし、さくらちゃん?無事に入籍したんだね」
「あ、はい。お陰様で先週無事に」
「おめでとう!今度そっちに行く時に、部署のみんなからのお祝い持って行くね」
「えー、ありがとうございます。お気遣い頂いてすみません」
そんなやり取りをしているうちに、要件を忘れそうになり、さくらは慌てて川崎に代わってもらう。
「物件概要ね、了解。今日中に作ってデータ送るよ」
「わ!そんなに早く?助かります。ありがとうございます」
さくらは頭を下げながら、よろしくお願いしますと言って電話を切る。
北斗が顔を上げて微笑んだ。
「さくらがいてくれて、本当に助かるよ。どれもこれも、話がもの凄くスムーズに進む」
「ええ。ほんの数ヶ月だったけど、不動産事業部に異動して良かったです」
「うん。俺にとってさくらは、本当に大事な存在だな」
「えー?仕事がはかどるから?」
「違うよ。公私ともに、精神的にも助けられてる。家でも職場でも、俺はいつもさくらに支えられてる。なんだろう?もうさくらがいない生活なんて考えられない。逆に言うと今までよく、さくらのいない状況で生きてこれたな、俺」
ぷっと、さくらは思わず吹き出す。
「北斗さん、大げさ。そんな真剣な顔で何を言ってるの?」
「だって、本当にそう思うもん」
「はいはい」
さくらは、呆れたように笑った。
「んー、それなら栗林さんより、川崎さんに頼んだ方がいいかな。私、電話してみるね」
「ありがとう。頼む」
小さな事務所で向かい合い、北斗とさくらはプロジェクトに関する仕事を進めていく。
さくらはデスクで、東京の古巣の社に電話をかけた。
「あ、お世話になっております。神代不動産の神代 さくらと申しますが…」
「うおー、さくらちゃん?!ついに来たよ、社長夫人からのお電話が!」
「ちょ、ちょっと、川崎さん!そんな大きな声で…」
すると、電話口に栗林が出た。
「もしもし、さくらちゃん?無事に入籍したんだね」
「あ、はい。お陰様で先週無事に」
「おめでとう!今度そっちに行く時に、部署のみんなからのお祝い持って行くね」
「えー、ありがとうございます。お気遣い頂いてすみません」
そんなやり取りをしているうちに、要件を忘れそうになり、さくらは慌てて川崎に代わってもらう。
「物件概要ね、了解。今日中に作ってデータ送るよ」
「わ!そんなに早く?助かります。ありがとうございます」
さくらは頭を下げながら、よろしくお願いしますと言って電話を切る。
北斗が顔を上げて微笑んだ。
「さくらがいてくれて、本当に助かるよ。どれもこれも、話がもの凄くスムーズに進む」
「ええ。ほんの数ヶ月だったけど、不動産事業部に異動して良かったです」
「うん。俺にとってさくらは、本当に大事な存在だな」
「えー?仕事がはかどるから?」
「違うよ。公私ともに、精神的にも助けられてる。家でも職場でも、俺はいつもさくらに支えられてる。なんだろう?もうさくらがいない生活なんて考えられない。逆に言うと今までよく、さくらのいない状況で生きてこれたな、俺」
ぷっと、さくらは思わず吹き出す。
「北斗さん、大げさ。そんな真剣な顔で何を言ってるの?」
「だって、本当にそう思うもん」
「はいはい」
さくらは、呆れたように笑った。