さくらの記憶
「あの子は、さくらちゃんで間違いないんじゃな?」
北斗が頷くと、祖父は大きく息を吐いた。
「一体なぜ?どうしてまたここに?」
「分からない」
「それに、彼女の記憶もどうなっているんじゃ?お前のことも、ここの記憶もないようじゃったが…」
「多分、あの木に触れていないからだ」
「じゃあ今は、普段の記憶もここでの記憶も、両方ないということか?」
「おそらく…」
「…それでお前、これからどうするんじゃ?」
北斗は、机の上に両手を載せてじっと考え込む。
(俺の記憶がないなら、このまま別れた方がいい。出来るだけ早く、彼女があの木に触れてしまう前に)
そう結論を出すと、明日の朝、病院に連れて行く、と祖父に告げた。
(そうすれば、さくらの普段の記憶は戻るだろう。そして、ここでのことは忘れるはずだ。5年前と同じように…)
北斗が頷くと、祖父は大きく息を吐いた。
「一体なぜ?どうしてまたここに?」
「分からない」
「それに、彼女の記憶もどうなっているんじゃ?お前のことも、ここの記憶もないようじゃったが…」
「多分、あの木に触れていないからだ」
「じゃあ今は、普段の記憶もここでの記憶も、両方ないということか?」
「おそらく…」
「…それでお前、これからどうするんじゃ?」
北斗は、机の上に両手を載せてじっと考え込む。
(俺の記憶がないなら、このまま別れた方がいい。出来るだけ早く、彼女があの木に触れてしまう前に)
そう結論を出すと、明日の朝、病院に連れて行く、と祖父に告げた。
(そうすれば、さくらの普段の記憶は戻るだろう。そして、ここでのことは忘れるはずだ。5年前と同じように…)