さくらの記憶
翌日。
北斗の予想に反して、さくらはその提案に首を振った。
「どうして?君だって、早く記憶を取り戻したいだろう?自分の家に帰りたいはずだよ」
さくらは、どう説明しようかと悩みながら口を開く。
「あの、散々お世話になっておいて、図々しいお願いなんですけど…」
「いや、そんなことはいい。けど?」
「はい。私は、どうしてもここを離れたくありません。なぜなのかと聞かれると、上手く言えなくて申し訳ないのですが…。私は、ここにいなければならないと思うんです。これから、何かが起きようとしているような気がして…。私は、それを見届けなければいけない。そのために、私はここに来たのだと。記憶を失くしてまで、ここにいなければならない理由があると思うんです。それを知るためにも、今ここを離れる訳にはいきません」
じっと北斗を見つめ、きっぱりと言い切るさくらに、思わず北斗は言葉を失う。
「でも、不安じゃないの?記憶がなくて。家族も君を心配してると思うよ」
うーん、とさくらは視線を外して考えてから、パッと笑顔になった。
「じゃあ、頑張って思い出します!」
「ええー?!いや、そういうのって、無理に思い出そうとする方が良くないんじゃないの?君が辛くなるだけなんじゃ…」
「大丈夫です、無理はしませんから。北斗さん、ノートを1冊もらえませんか?」
「…は?ノート?それはもちろん、いいけど…」
「ありがとうございます!」
さくらの満面の笑みに、北斗は面食らって何も言えなかった。
北斗の予想に反して、さくらはその提案に首を振った。
「どうして?君だって、早く記憶を取り戻したいだろう?自分の家に帰りたいはずだよ」
さくらは、どう説明しようかと悩みながら口を開く。
「あの、散々お世話になっておいて、図々しいお願いなんですけど…」
「いや、そんなことはいい。けど?」
「はい。私は、どうしてもここを離れたくありません。なぜなのかと聞かれると、上手く言えなくて申し訳ないのですが…。私は、ここにいなければならないと思うんです。これから、何かが起きようとしているような気がして…。私は、それを見届けなければいけない。そのために、私はここに来たのだと。記憶を失くしてまで、ここにいなければならない理由があると思うんです。それを知るためにも、今ここを離れる訳にはいきません」
じっと北斗を見つめ、きっぱりと言い切るさくらに、思わず北斗は言葉を失う。
「でも、不安じゃないの?記憶がなくて。家族も君を心配してると思うよ」
うーん、とさくらは視線を外して考えてから、パッと笑顔になった。
「じゃあ、頑張って思い出します!」
「ええー?!いや、そういうのって、無理に思い出そうとする方が良くないんじゃないの?君が辛くなるだけなんじゃ…」
「大丈夫です、無理はしませんから。北斗さん、ノートを1冊もらえませんか?」
「…は?ノート?それはもちろん、いいけど…」
「ありがとうございます!」
さくらの満面の笑みに、北斗は面食らって何も言えなかった。