さくらの記憶
ある日、さくらはいつものように桜の木に両手を当てて、目を閉じていた。

いつもの二人が、今日も仲良く現れる。

毎日こうしているうちに、分かってきたことがあった。

男の人は(たける)さん、女の人は、はなと互いに呼ばれていて、どうやらそれは本名ではなく、二人が決めた呼び名のようだった。

やがて二人の間に、子どもが生まれる。

小さな赤ちゃんを抱いて、幸せそうに微笑む二人に、さくらも思わず笑顔になる。

だが、ある日。
いつもは笑顔の二人が険しい顔でさくらに語りかけてきた。

『気をつけて。あなた達に危険が迫っている』

え?とさくらは首を傾げる。

だが、それ以上のことが二人から語られることはなかった。
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