婚約破棄された公爵令嬢は冷徹国王の溺愛を信じない
 特定の商人と癒着しての市場の独占、王太子の婚約者という立場を利用した越権行為など、すでに悪女と噂されていることから、悪質な虐めまで様々な罪が挙げられ非難されたのだ。
(で、結局は証拠不十分でお咎なしなんだけど)
 ルチアの行いで不利益を被った者たちが流した噂にすぎないのだから、証拠などあるはずがない。
 そもそも証拠を捏造できる者なら、もっと上手くやっただろう。
 結局、ジョバンニの父親である国王は、噂に踊らされた王太子の不始末を表立って非難することもできず、ルチアに莫大な賠償金を支払ってくれたのだった。
(でも、お父様たちはカンカンに怒ったのよね、私に)
 常日頃から公爵家の運営にあれこれと口を出していた生意気な娘が、ついに王太子に公衆の面前で捨てられ恥をさらしたと家族は激怒した。
 賠償金を持参金にすることで強引にこの結婚を決め、勘当も同然にルチアを追い出したのだ。
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