婚約破棄された公爵令嬢は冷徹国王の溺愛を信じない
 そんな四人の話し合いがいつしか、バランド王国の四人の悪魔は夜な夜な集まっては次の獲物を狙い定めている、と噂が広まっていったらしい。
 あの日も、王城にある小さな遊戯室でカードゲームをしながら、この国の現状、問題点、今後の対応、方針を話し合っていた。
 そのとき、ニコルが質問したのだ。
『そういえば、オドラン王国から書簡が届いていたようですが、何の用件だったんですか?』
 ニコルがカードを引きながら問いかけると、エルマンがちらりと主を──ジュストを見た。
 どう答えるべきかジュストはわずかに考えたが、黙っていてもいずれは知られることである。
『──花嫁の打診だ』
『へえ? 誰のですか?』
『ニコル、冗談ではないのですよ?』
『だって、僕たち四人とも独身じゃないですか』
 エルマンに窘められると、ニコルは不服そうに唇を尖らせた。
 そんなニコルは無視して、シメオンがようやく口を開いた。
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