婚約破棄された公爵令嬢は冷徹国王の溺愛を信じない
『花嫁は誰ですか?』
『名前はルチア・ショーンティ。ショーンティ公爵家の娘だ』
『ルチア・ショーンティ!? あの噂の!? まさか受けるつもりですか!?』
 シメオンの問いかけだったが、驚きの声をあげたのはニコルだ。
 しかし、ジュストはあっさり頷いた。
『そのつもりだ』
『反対です!』
『賛成できません』
 ニコルだけでなく、普段はあまり意見を口にしないシメオンまでもが反対した。
 このふたりの意見が揃うことは珍しい。
『彼女がどうであろうと、彼女についてくる莫大な持参金はかなり魅力的だ』
『ですが、噂ではすごい贅沢好きで浪費家で、商人と結託して公爵家だけでなく国庫にまで損害を及ぼしている、なんて言われているんですよ? それも政務官を丸め込んでいるからとか。しかも酷くわがままで使用人を急に解雇したりしているそうですよ』
『隣国のことなのに、ずいぶん詳しいな』
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