婚約破棄された公爵令嬢は冷徹国王の溺愛を信じない
第一章
第一章
「──信じられません! どうしてルチア様のお部屋がこのようなただの客間なのですか! しかもろくに掃除もされていないなんて!」
簡素な式が終わり案内された部屋は、主棟ではなく翼棟にある客間だった。
荷物もすべて運び込まれていることから、仮部屋でないことがわかる。
その事実に、もう十年も仕えてくれている侍女のマノンは怒っていたが、ルチアとしては部屋はどうでもよかった。
この調子ならおそらく初夜もないだろう。
「まあまあ、そんなに怒らないで。とりあえず今夜はもう寝ましょうよ。みんな疲れたでしょう?」
ルチアが寝なければ、使用人たちも休めない。
従僕たちはここにはいないが、何かあればいつでも駆けつけてくれるのはわかっていた。
今回の嫁入りに公爵家からついてきてくれた使用人たちは、マノンをはじめとして十五人もいるのだ。
彼らはルチアを選んだ時点で公爵家を解雇されている。
「──信じられません! どうしてルチア様のお部屋がこのようなただの客間なのですか! しかもろくに掃除もされていないなんて!」
簡素な式が終わり案内された部屋は、主棟ではなく翼棟にある客間だった。
荷物もすべて運び込まれていることから、仮部屋でないことがわかる。
その事実に、もう十年も仕えてくれている侍女のマノンは怒っていたが、ルチアとしては部屋はどうでもよかった。
この調子ならおそらく初夜もないだろう。
「まあまあ、そんなに怒らないで。とりあえず今夜はもう寝ましょうよ。みんな疲れたでしょう?」
ルチアが寝なければ、使用人たちも休めない。
従僕たちはここにはいないが、何かあればいつでも駆けつけてくれるのはわかっていた。
今回の嫁入りに公爵家からついてきてくれた使用人たちは、マノンをはじめとして十五人もいるのだ。
彼らはルチアを選んだ時点で公爵家を解雇されている。