愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
「ママひどい! どうして起こしてくれなかったの!?」

 次の日の朝。凛は私よりも先に目を覚ますや否や、いつの間にか夜が明けていたことに驚き、半泣き状態で私に抗議をしてきた。

「ごめんね、凛がぐっすり眠っていたから」

「りょーせー君に、また会おうねって言いたかった。もう会えなかったらどうしよう……。凛、悲しいよ」

 ポロポロと涙をこぼす凛に戸惑う。

「大丈夫だよ、凛。碓氷さん、また凛に会いたいって言っていたから」

「本当?」

 涙を拭いながら聞いてきた凛に「本当」と力強く答えた。

「ご飯を食べに行きたいなって言ってたよ。今度、電話をして直接凛からなにが食べたいか言おうか」

「うん、言う!! りょーせー君に電話する!」

 表情をコロッと変えて笑顔で頷くと、凛は「わーい!」と言いながら抱きついてきた。

「なにがいいかなー」

「なにがいいだろうね」

 凛の髪を撫でながら、愛おしい温もりを感じる。

 よほど楽しみなようで、すっかりと涙は止まったようだ。
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