愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
 たった二回しか会ったことがないのに、なぜ凛はこんなにも遼生さんに懐いているのだろうか。

「ねぇ、凛。どうしてそんなに碓氷さんのことが大好きなの?」

 気になって聞いてみると、凛はすぐに答えてくれた。

「りょーせー君はね、特別なの」

「特別?」

 凛にとっての〝特別〟とは、いったいどういう意味だろうか。

 その理由を凛は私から離れ、身振り手振り話し出した。

「王子様みたいにカッコいいし、最初からずっと好きだったの」

「最初から?」

「うん! 和泉君も保育園の竜(りゅう)君も好きだけど、りょーせー君はね、大好きなの。これくらい好きなんだ!」

 そう言って凛は両手を使って好きの気持ちを表現する。

「凛、これからもずーっとりょーせー君に会いたい」

「……そっか」

 その願いを叶えることは難しいと思う。しかし、その事実を凛に伝えることなどできず、私はただ彼女を抱きしめた。

「ママもりょーせー君に会いたいでしょ?」

「……うん、会いたい」

 私だって叶うのなら遼生さんとずっと一緒にいたい。凛と三人で本当の家族になりたいよ。
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