愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
 言葉を詰まらせたら、すかさず聞いてきた明子さんに今の正直な胸の内を明かした。

「昨日の凛を見て、どの選択が凛を幸せにできるのかもわからなくなっちゃって。今、頭の中を必死に整理中です」

「……そっか」

 私が言いたいことが伝わったのか、明子さんは小さく息を吐いた。

「そうね、凛の幸せを考えたら色々と悩むわよね。だけどね、凛も萌ちゃんも幸せじゃないとだめ。だから今は悩んでいいと思う。将来にかかわることなんだから、たくさん迷って納得がいく答えを出しなさい」

「明子さん……」

 いいのかな、明子さんの言うように今はたくさんの選択肢があると思っても。遼生さんと三人で幸せな毎日を過ごす未来を夢見てもいい?

「それに碓氷さんに記憶が戻らないなら、新しい記憶で塗り替えていけばいいのよ。大切なのは今、誰もが幸せであること! それを肝に銘じなさい」

「……はい」

 優しく背中を撫でられ、朝から泣きそうになってしまった。

 ちゃんと考えて向き合ってみよう。自分の気持ち、凛の幸せ、そして今の遼生さんと――。

 それから和やかな朝食を済ませた。
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