愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
三日後――。
凛を保育園に送り出した後は店に立ち、昼食後はいつものように翻訳の仕事に取りかかる。
しかしその途中、何度も遼生さんのことを考えては手が止まっていた。
集中できず、一度作業を止めて椅子から立ち上がり、ストレッチをする。ふと、壁に貼ってあるポスターに目がいく。
それは遼生さんと初めて出会ったミュージカルのポスター。この作品自体が大好きで、付き合い始めてからも彼と定期的に見に行っていた。
「新しい記憶で塗り替える、か」
三日前に明子さんに言われた言葉が口をついて出てしまう。
遼生さんは失った記憶が戻らない可能性もあるって言っていたよね。それなら明子さんの言う通り、また一から彼と関係を始めてみてもいいのかな?
だけどそれってどうなの? 私はすべてを知っているのに騙しているみたいじゃない?
ゆっくり近づき、少し色褪せたポスターに触れる。
「そもそも遼生さんに事実を告げないままでいいの……?」
今の彼は、自分の子供だと知らずに凛のことを受け入れようとしてくれている。だけど告げたら記憶を取り戻し、凛を突き離す可能性もある。
それとも自分の子供は特別に思う? 私から凛を奪うこともあり得るのだろうか。
凛を保育園に送り出した後は店に立ち、昼食後はいつものように翻訳の仕事に取りかかる。
しかしその途中、何度も遼生さんのことを考えては手が止まっていた。
集中できず、一度作業を止めて椅子から立ち上がり、ストレッチをする。ふと、壁に貼ってあるポスターに目がいく。
それは遼生さんと初めて出会ったミュージカルのポスター。この作品自体が大好きで、付き合い始めてからも彼と定期的に見に行っていた。
「新しい記憶で塗り替える、か」
三日前に明子さんに言われた言葉が口をついて出てしまう。
遼生さんは失った記憶が戻らない可能性もあるって言っていたよね。それなら明子さんの言う通り、また一から彼と関係を始めてみてもいいのかな?
だけどそれってどうなの? 私はすべてを知っているのに騙しているみたいじゃない?
ゆっくり近づき、少し色褪せたポスターに触れる。
「そもそも遼生さんに事実を告げないままでいいの……?」
今の彼は、自分の子供だと知らずに凛のことを受け入れようとしてくれている。だけど告げたら記憶を取り戻し、凛を突き離す可能性もある。
それとも自分の子供は特別に思う? 私から凛を奪うこともあり得るのだろうか。