愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
 やはり考えれば考えるほど正解が遠退いていく。そうこうしている間に時間は流れ、凛を迎えに行かなくてはいけない時間になっていた。

 実は昨夜に遼生さんと連絡を取り、土曜日のお昼に遼生さんと凛の三人でランチに行く約束をした。

 凛がリクエストしたのはパンケーキ。「りょーせー君と半分こするんだ」って嬉しそうに話していた。

 文博さんからプロジェクトの準備は順調に進んでおり、きっとそろそろ彼は東京に戻る頃だろう。

 遼生さんは会いに来ると言っていたけれど、そう頻繁には来られないはず。

 そうなったら凛は寂しがるだろう。私は……どうなんだろう。

 店に立つ明子さんに凛を迎えに行くことを告げて家を出た。そして商店街を進んでいくと、青果店が近づいてきた。

 店先には和泉君が立っていて、私に気づいた彼は大きく手を振った。

「萌ちゃん」

「お疲れ様、和泉君」

 青果店には客は誰もおらず、和泉君は品出しをしているところだった。
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