愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
「遼生?」

「大丈夫? 遼生君!」

 すぐに駆け寄ってきた母と珠緒に対し、怒りが込み上がる。

「萌になんてことを言ったんだっ!」

 俺の話を聞き、ふたりは目を丸くさせた。

「遼生、あなたもしかして記憶が戻ったの?」

 声を震わせて聞いてきた母にすぐさま答えた。

「あぁ、母さんと珠緒のおかげでたった今思い出したよ」

 それと同時に後悔で胸が圧し潰されそうだ。なぜ萌のことだけを忘れていたんだ? なによりも忘れたくなかった記憶なのに。

 それよりも早く萌を追いかけないと。

 ベッドから降りて後を追おうとしたがふらついてしまい、近くにいた看護師が咄嗟に俺の身体を支えた。

「記憶を取り戻してすぐに動くなんて……! 脳に障害が生じる可能性もあります。どうか安静にしてください」

「ですがっ……!」

「今の身体では追いつくことはできませんよ」

 看護師にはっきりと言われ、俺はグッと唇を噛みしめた。
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