愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
 少し休憩を挟もうと思い、自販機コーナーへと向かう。そこでブラックコーヒーを購入して一息ついた。

 そしておもむろにスマホを手に取り、一週間前に届いた萌からの返信文に目を通す。

【わかりました。待ってます】

 短い言葉が、今の俺の励みになっている。

 北海道を離れる際に、萌に【必ず戻ってくるから、待っていてほしい】と送った。それに対しての答えだ。

 目の前で頭痛に襲われて倒れたんだ。きっと聞きたいことがたくさんあるはずなのに、萌はなにも聞かずに待つと言ってくれた。それがどれだけ心強いか……。

 萌のためにも早く問題を片づけて、もう一度プロポーズしたい。

 それからさらに二時間ほど残業して会社を出る頃には、二十一時を過ぎていた。

 最寄り駅に向かう途中、遅くまで開いている花屋が目に留まる。店頭には大小さまざまな花束が並んでいた。

 いつもは気にも留めずに通り過ぎていたが、なぜか今日は目を引かれる。それはカスミソウとピンクのバラの花束だった。

 思わず手に取り見ていると、店員が声をかけてきた。
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