愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
 そして肌身離さず持っていた結婚指輪を渡して、凛ちゃんと萌と俺の三人で家族になりたいとプロポーズしたい。

 それから凛ちゃんの父親は誰なのかを聞いてもいいだろうか。たとえ俺と萌の間にできた子ではないとしても、凛ちゃんと家族になりたいという気持ちは変わらない。……変わらないけれど、俺の子供だったらどんなに嬉しいか。

 いや、その前に萌に自分の気持ちを伝えなくてはいけない。

 頭の中でシミュレーションしながら歩を進めていたら、いつの間にか洋菓子店の前に着いていた。

 時刻は十六時過ぎ。この時間、萌は店に立っているだろうか。

 入ればいいのに、躊躇してなかなか入ることができずに立ち往生すること数分。店の中からそんな俺の様子が見えたようで、明子さんが勢いよくドアを開けた。

「碓氷さん!?」

「あ……こんにちは。ご無沙汰しております」

 驚きながらも挨拶をすると、明子さんは俺を見て安心したように肩を落とした。
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