愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする

「よかった、無事だったのね。もう、心配したのよ。頭痛いのは取れたの？」

　そういえばあの日、病室に凛ちゃんの姿はなかった。それはもしかしたら俺が倒れて病院に搬送された際、明子さんたちが凛ちゃんを連れて帰ってくれたのかもしれない。

　それならこんなにも安心した顔を見せたのにも納得がいく。

「すみません、ご心配をおかけしてしまい。……はい、おかげさまであの日の頭痛がきっかけですべて思い出しました」

　そう打ち明けると明子さんは目を丸くして、「本当に？」と聞き返した。

「はい、本当です。萌との思い出もすべて取り戻しました」

「そう。……そうだったのね」

　次の瞬間、明子さんの瞳から一筋の涙が流れた。

　突然泣き出した彼女に戸惑う中、明子さんは涙のわけを話してくれた。