愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
【必ず戻ってくるから、待っていてほしい】

　彼が東京に戻る前に送ってきた一通のメッセージ。私はずっと一言に込められた言葉の意味を考えていた。

　平日の十四時過ぎ。静かな室内で翻訳の仕事中に、つい手が止まってしまう。パソコン画面から壁にあるカレンダーに目を向けると、遼生さんが東京に戻ってから一週間以上が過ぎていた。

　机の上にあるスマホをタップして、新着メッセージがないか確認する作業を何度繰り返しただろうか。

「連絡はなし、か」

　今日もやっぱり遼生さんからメッセージや着信はなかった。

　待っていてほしいということは、私のことを忘れてはいないということ。ただ、記憶が戻ったかどうかは定かではない。

　聞けばすぐに答えてくれるかもしれないけれど、怖くて聞けない自分もいる。もし記憶を取り戻していて、私との縁をきっぱりと切るために今、準備を進めている可能性だってある。

　もしそうなら私の彼に対する想いは、どうすればいいんだろう。凛にはなんて伝えよう。
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