愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
「ママ、凛のパパはもう会えない人なんでしょ?」

「えっ? あっ」

「会えないパパがいるのに、りょーせー君が凛のパパになってもいいの?」

 そういえば凛に父親について話したことがあった。そっか、凛はそれをちゃんと覚えていたんだね。

 三歳でも記憶力はしっかりしていることに感心しながら、凛の髪をそっと撫でた。

「ママ、凛に謝らなくちゃいけないことがあるの」

「なに?」

「凛のパパはね、遼生君なの。ママには凛と遼生君に本当のことを言えない理由があって、ふたりに言えずにいたの。……本当にごめんね」

 可愛らしく小首を傾げる凛に理解できるよう、言葉を選びながら伝えた。そんな私の言葉を聞き、必死にわかろうとしているのか凛は頭を抱えた。

「凛……よくわからないけど、ママは悪いことをしようとして、凛に嘘をついたんじゃないでしょ?」

「もちろんよ」

「じゃあママはごめんなさいしなくてもいいよ。凛、りょーせー君がパパで嬉しいから」

 笑顔で言うと、凛はギューッと遼生さんに抱きついた。

「りょーせー君も嬉しいでしょ?」

 上目づかいで聞かれた遼生さんは、凛の愛らしさに胸を撃ち抜かれたのか「もちろんだ」と必死に声を絞り出した。
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