愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
「もちろんだよ。……凛ちゃんにパパって呼んでもらえたらすごく嬉しい」

「本当?」

「うん」

 遼生さんの返事を聞き、凛はパッと表情が明るくなる。

「じゃあえっと……パパも凛のことをママみたいに〝凛〟って呼んでいいよ? ねぇ、ママ。いいよね?」
 確認してきた凛に私もすぐに「もちろん」と答えた。

「ありがとう。じゃあ俺も凛って呼ぶね」

「うん!」

 呼び方が変わっただけで一気にふたりの距離が縮まった気がする。

 そんな微笑ましいやり取りを見て、父は複雑そうな表情を浮かべた。それを見て明子さんは母に耳打ちする。

「ねぇ、お義兄さんどうしたの?」

「あぁー……ちょっとね、萌」

「アハハ……」

 話を振られ、乾いた笑い声が漏れてしまう。

 父としては遼生さんと会ったら、私のためにも一発殴りたいと言っていたが、凛があまりに遼生さんに懐いていたからかそれができない状況だ。

 なにより両親が会いに来た時、凛はいつも「じいじ」と言って父にべったりだったのにもかかわらず、今日に至っては凛は遼生さんしか目に入っていないようで、それもまた父の癇に障っている様子。
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