愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
「何事にも挑戦しないことには始まらないしな。うちも協力できることがあったらしていこう」

「そうね。これ以上商店街が廃れていくのを見たくないわ」

「そうだな」

 それは私も同じだ。

「私にも力になれることがあったら、遠慮なく言ってくださいね」

 商店街のためなら、どんなことだって力になりたい。

「ありがとう。萌ちゃんは英語も話せるし、もしかしたらお願いすることがあるかもしれない。その時は頼むよ」

「もちろんです」

 商店街にお客さんが戻ってきたら、出店してみようと思う人も増えるはず。

「凛もやるー!」

 話を聞いていた凛が手を上げて言った瞬間、私たちは顔を見合わせて笑ってしまった。

「そうだな、みんなで協力し合おう」

「凛も力になってね」

「うん!」

 穏やかな雰囲気に包まれて、私たちはゆっくりと朝食をとった。

 それから二週間後、話は大きく進んだ。なんでもショッピングモールを手掛けた会社が、シャッター商店街と言われているうちの商店街のことを知り、協力したいと申し入れがあったのだ。

 温泉施設のオープンに合わせて、連携したキャンペーンの開催の提案をはじめ、なんと空き家に参入してくれる企業も募ってくれるそう。

「なんでも土産店やカフェ、宿泊施設も入るらしいぞ。そうなったら昔以上に栄えることも夢じゃない」

 そう言って文博さんは連日夜になると、商店街の会合に顔を出して今後について話し合っている。商店街のみんなの表情も日に日に明るくなっていた。このままずっといい方向に向かってくれることを祈るばかりだ。
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