愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
もう二度と会うことはないと思っていた彼は、再会した次の日に店にやって来た。
文博さんに用事があるわけではなく、ただ客としてケーキを買いにきたと言ったのだ。そんな遼生さんから逃げることなどできず、私は従業員として接客した。
社交辞令でケーキを買いに来てくれただけで、これでもう来ないと思ったが、それは大きな間違いで次の日も、そして次の日も同じ時間にやって来てはケーキを一個買っていく。それが一週間続いている。
文博さんも、お客として来る遼生さんになにも言えるわけもなく、こうして毎日顔を合わせていた。
すると遼生さんは文博さんや明子さんと同じように私のことを〝萌ちゃん〟と呼ぶようになった。
最初に呼ばれた時は昔、初めて彼に呼ばれたことを思い出して心臓が止まりそうなほどびっくりした。そして今は呼ばれるたびに胸を痛ませている。
チラッと彼を見ると、顎に当てている左手が目にいってしまう。
薬指に指輪はない。正直、四年も経つわけだし結婚していると思っていた。なんせ彼はあの碓氷不動産の御曹司だ。婚約者がいたとも聞いていたから、その人と結婚するために私に別れを切り出したと思っていたのだけれど……違ったのかな?
文博さんに用事があるわけではなく、ただ客としてケーキを買いにきたと言ったのだ。そんな遼生さんから逃げることなどできず、私は従業員として接客した。
社交辞令でケーキを買いに来てくれただけで、これでもう来ないと思ったが、それは大きな間違いで次の日も、そして次の日も同じ時間にやって来てはケーキを一個買っていく。それが一週間続いている。
文博さんも、お客として来る遼生さんになにも言えるわけもなく、こうして毎日顔を合わせていた。
すると遼生さんは文博さんや明子さんと同じように私のことを〝萌ちゃん〟と呼ぶようになった。
最初に呼ばれた時は昔、初めて彼に呼ばれたことを思い出して心臓が止まりそうなほどびっくりした。そして今は呼ばれるたびに胸を痛ませている。
チラッと彼を見ると、顎に当てている左手が目にいってしまう。
薬指に指輪はない。正直、四年も経つわけだし結婚していると思っていた。なんせ彼はあの碓氷不動産の御曹司だ。婚約者がいたとも聞いていたから、その人と結婚するために私に別れを切り出したと思っていたのだけれど……違ったのかな?