超ポジティブな委員長の桂木くん (短)
『!』

『お母さんの願いは、大事な娘の心と体の両方が元気である事だからね』

『お母さん……』


思わず泣きそうになって、DVDをギュッと抱きしめる。すると、お母さんは目の色を変えて「あ!」と、たった今私に渡したDVDを奪い返した。


『大事にしてね!?お母さんの宝物だからね!?壊れたら、もう買えないからね!?限定版だから!』

『……』

『はッ!お母さんったら、つい!ごめん!我を忘れてたわ……。でも――ね?お母さん、なんか楽しそうでしょ?青春なんて、そんなもんよ。自分が楽しんだらいいの』


楽しんだもん勝ちなんだから――


その時のお母さんとの会話を、今もハッキリと覚えている。

私が登校拒否をしている理由を、今まで深く聞いてきたことはない。だけど、決して無関心ではなくて、私の手をしっかり握ってくれている。

一人じゃないのよ――って。

あなたの居場所はここにあるからね――って。

そう言ってくれてる気がする。
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