超ポジティブな委員長の桂木くん (短)
「お、お手……?」


もしかして、返事は「ワン」?

何の躊躇もなく桂木くんの手が私に伸びたから、思わず首を捻る。すると桂木くんは「信じられないものを見る目」で私を見つめ返した。


「何ですぐに握り返さないんですか?僕と手を握れるなんて、10億の宝くじが当たるより凄いんですよ?」

「はあ?」

「今にも倒れそうな千鳥足で僕の隣を歩かれるのも嫌……じゃなくて。アレですから、大人しく僕に引っ張られて歩いてください」

「(今、普通に”嫌”って言ったな)」


ここで拒否をしても面倒くさそうだし。それに……確かに、誰かに引っ張ってもらった方が歩きやすい。

仕方ないから、私は桂木くんの手を握る。すると、昨日よりもホカホカした彼の体温が、すぐに私に伝わって来た。


「あったかい……」

「梅雨だというのに、今日は晴れてますね。暑くなりますよ」
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