超ポジティブな委員長の桂木くん (短)

近くから聞こえるような。だけど、やっぱり遠くから聞こえるような。そんなボリュームで、学校のチャイムが鳴り響いた。このチャイムの音は――給食開始の音だ。


「え、なんで?給食?」


さっき家を出たよね?さっき、出発したばかりだよね?

そう不思議に思ってスマホに手を伸ばす。すると時刻は、ちょうど12時をさしていた。


「なんでもうお昼!?」

「一花さん、大声は迷惑行為になるので謹んでくださいね」

「(昨日、ウチに不法侵入した人に言われた!)」


パニックになっている頭を整理すると、どうやら――

私は登校する意気込みはあったけど、やっぱり久しぶりの学校に、足取りがかなり重くなっていたらしく。それゆえに、ずっと亀の歩みだったから、家と学校の中間地点である公園に、お昼になってやっとたどり着いた、というわけだった。

え、じゃあ4時間くらい、ずっと外にいて歩いてたって事?桂木くんは、そんな亀みたいなノロマな私に、ずっと付き添ってくれていたって事?
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