超ポジティブな委員長の桂木くん (短)

だけど桂木くんと言えば、私に対して文句の「も」の字もないようで。ずっと突っ立っている私に、再び手招きをした。


「さ、お弁当は僕オリジナルです。その辺の三ツ星レストランより美味しいですよ。味は知りませんが、愛は詰め込みましたからね。どうぞ召し上がってください」

「……っ」


ねぇ、桂木くん。あなたバカじゃないの?

なんで目安箱なんか設置してんのよ。なんで、見ず知らずの人が勝手に投書した相談を、律儀に解決しようとしてんのよ。


「桂木くん、授業……出ないの?学校から家に連絡がいったら……ご両親、ビックリされるよ?朝は普通に家を出たのに、登校してないんですかって」

「――」


言うと、桂木くんは一瞬だけピタリと止まった。だけど「僕の両親は共働きですから」とさりげなく流される。いやいや、そうじゃなくて。


「共働きでも、親のスマホに、学校から電話がいくじゃん。会社とかにも、直接電話されるじゃん」
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