超ポジティブな委員長の桂木くん (短)
「あ……そう」


本当のところ、どうなんだか。だけど素直に話してくれるわけでもないだろうし。

すると、遠目に自動販売機があるのを見つけた。私は「桂木くんもお茶でいい?」と、財布を持って立ち上がる。

その時――

既に座っていた桂木くんが目を開いて、立ちあがった私を見る。


「……」

「桂木くん?」


ピッタリと動きの止まった桂木くんが不思議で、コテンと首を傾げてみる。すると短い髪が、少しだけフワリと風に乗った。

桂木くんは、その風に乗った髪を追いかけるように、私にゆっくりと手を伸ばした。

あぁ、そうだった。桂木くんってモデルみたいに手足が長いんだった。

その長い手を使って、桂木くんは私の髪の表面を撫でるように触る。

そして「切っちゃったんですね」と。

それだけ言った。
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