真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬致します。婚約破棄しましょう
「ところで噂の子爵令嬢とはどう言う娘なんだ?セレスは知っているんだろう?」
「可愛らしいお方ですのよ。殿下の真実の愛のお相手ですもの」
「ふぅん……」
兄クリストファーは第一王子であるエドワール王太子殿下の側近として働いている。
「王妃様が嘆いていらしたよ」
「えぇ、最後にご挨拶した時は心苦しい思いをしました。幼少の頃から王妃様を尊敬しておりますから」
「バカだね、サロモン殿下は」
「いいえお兄様、真実の愛の前ではわたくしの存在など霞んでしまうのです」
「そうか……真実の愛ねぇ」
「それよりお兄様、王弟殿下とお会いになるのはお久しぶりなのでしょう?」
「そうだね、楽しみだよ、セレスは覚えている?」
「遊んでもらった記憶ですがお優しくて素敵な方でしたわよね」
ふふふと笑うセレスティーヌ。
「きっとわたくしのことなんて忘れていますわね、小さかったですもの」
「忘れるはずがないよ」
クリストファーが立ち上がり、セレスティーヌの頭を和かな笑みと共に撫でた。
「それじゃ、私は仕事があるので部屋に戻るよ」
サロンを出て行くクリストファー