真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬致します。婚約破棄しましょう
「クリス!」
声を掛けられ兄と振り向くと王弟殿下だった。
「やぁラルフ久しぶりだな! しばらく見ないうちに容姿が変わって紹介がなかったら分からなかったかもしれない……」
兄が気さくに話をする。幼少の頃よりの幼馴染である。
「まぁな、久しぶりだから……もしかして隣にいるのは……セレスか?」
「そうだよ、セレスと会うのは何年ぶりだ?セレス、ラルフに挨拶をしなさい」
「はい、王弟殿下お久しぶりでございます。セレスティーヌでございます」
淑女の礼をする。
「なんだ……びっくりしたよ、美しくなったな」
「ふふふ、またご冗談を」
「いや、昔から可愛かったがこんなに成長しているとは……」
口に手を当て言葉を失うラルフ。
「お上手です事……」
照れて顔がピンクに染まるセレスティーヌ。
「エスコート役はいないのか?」
キョロキョロと周りを見渡すラルフ。
「私がセレスティーヌのエスコート役だよ」
「サロモンはどうした?」
帰ってきたばかりのラルフは知らなかった。
クリストファーが、かくかくしかじかと話を始める。
居ても立っても居られない……
「お兄様、帰ってきたばかりの王弟殿下にその様な事を……」
消えそうな声でクリストファーを止める。
「セレス、それではダンスに誘っても良いかな……?」
ラルフに誘われクリストファーを見る。
「嫌じゃないなら良いんじゃない? 久しぶりだろう?」
「はい」
と言ってラルフの手を取る。