真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬致します。婚約破棄しましょう
「陛下、妹は体調が優れないようで退出をさせていただけますか?」
「まぁ! それは良くないわね、部屋でお休みなさい、セレスティーヌの部屋はそのまま残っているのよ!」
頭を振るセレスティーヌ。
「お兄様、邸にお願いします」
分かったと頷くクリストファー。
「お言葉はありがたいのですが、妹は邸に戻ると申しております、御前失礼致します」
二人礼をして去る事にした。
「おい、セレス大丈夫なのか!」
急足で兄妹の方に向かってくる父。
「父上、後でお話し致します、セレスを休ませてやりたいんですよ」
「そうだな、後で話を聞かせてくれ」
セレスティーヌの肩を抱いて帰ろうとする。
「せめて馬車止めまで送らせてくれ」
ラルフが足早に近寄って来た。
「セレスティーヌ顔色が……」
セレスティーヌは足に力が入らなくなり立っているのがやっとだった。
「セレス!」
クリストファーが腰を支えた。
「失礼!」
ラルフがセレスティーヌを横抱きにして馬車まで運ぶと言うので頼む事にした。その様子を、見て見ぬふりをすると言う会場の皆の心遣いだが、また噂になりそうだった。
廊下でサロモンとすれ違い何か騒いでいるようだが、兄とラルフにより牽制された。あぁ、頭が痛い……
結局ラルフも心配でついてきてくれたらしい。再会と同時に迷惑をかけてしまい、大変申し訳なく思う。しばらく学園は休んで良いとのことなので、休む事にした。サロモンの顔を見たくない。
休んでいるとラルフからは小さなブーケとお菓子が送られてきた。小さなブーケは部屋のベッドの近くに飾るのに良いサイズで、目の保養になり癒された。お菓子はティータイムで寛ぐ時用に……送られてきたチョコレートは小ぶりで一つ一つがキラキラと輝くようなものだった。心遣いがとても嬉しかった。
サロモンからは大きな薔薇の花束が送られてきた。香りがきつく部屋には飾れないのでどこかに飾ってあるのだろう。
香りがきつくて頭に障る……それと共にこの間と同じような言葉が並べられた迷惑な手紙が添えられていた……
更に頭が痛くなった……
会っても居ないのに、ここまで頭を痛くさせるなんて敵ながら天晴れである。もはやサロモンはセレスティーヌにとって天敵扱いとなった。こんな男と十年も過ごしていたのかと思うと気が重くなる。