真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬致します。婚約破棄しましょう
「はい、お名前をサロモン・ド・アルベール、スペルわかりますか?S・a・l・o・m・o・n」
「いや、それは分かるが……」
「どうされました? ペンが進んでおられません!」
「なぜだ?」
「もう? なんです! 良い加減にしないとわたくし怒りますわよ?」
「こっちのセリフだっ!!」
「……よくわかりませんわね」
「なぜ、君はそんなに急かす?」
「真実の愛ですわよ?」
「それはもういいっ!」
「良くありません!」
「……どうしたいんだよ、君はっ!」
「……殿下と子爵令嬢の真実の愛を見届けたいと思いまして」
「……よく分からん」
「まぁっ、殿下が仰った事でございましょう?」
「私はサインを、しないからなっ!」
「……それではわたくしが代理で致しましょう」
「そんなバカげたことが出来るかっ!」
「いや、真似して書けばなんとか…」
「サインは自分でするっ!」