真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬致します。婚約破棄しましょう

会って嬉しい人、会いたくない人

「セレス具合はどう?」

 ラルフが見舞いに訪れた。いつもの小さなブーケとお菓子を持ってきてくれた。

「王弟殿下、いつもお見舞いの品をありがとうございます」

 笑顔でお礼を言う。

「少しやつれたんじゃないか?」

 心配そうに顔を覗いてくる長身のラルフ

「そんな事はありませんけど……こんなところではなんですし、お天気がいいのでお庭が見渡せるテラスでお茶をしませんか?」

 ラルフをお茶に誘うと、それは良いねと微笑んでくれた。

 テラスに案内をする。少し肌寒いが日差しも良い午後だった。

「懐かしいな……バイエ邸の庭に来るのは何年振りだ……?」

 懐かしそうに目を細めるラルフ

「王弟殿下、先日は再会をしたばかりなのにご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした、お詫び申し上げます」

 すっと席を立ち深々と礼をする。

「気にするな、私が勝手にした事だ、それより学園も休んでいるんだろ?大丈夫なのか」

 心配そうな眼差しで見られる

「はい、父がしばらくは休んで良いと言ってくれたのでその言葉に甘えています」

「しかし外にも出ないのは体に良くないだろう?」

「王弟殿下から戴くお花を見て癒されています、ベッドの側に飾るのにちょうどいい大きさですもの」
ふふふと笑うセレスティーヌ

「そうか、それは良かった、嬉しいよ」

 笑顔で答えるラルフ

「お菓子もすごく美味しくて、食べるのが勿体無くて……」

「好みにあっていた?」

「はい、今日いただいたものも実は楽しみです」
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