真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬致します。婚約破棄しましょう
ラルフが送ってくれるものに日々癒されている。何回かに一度は手紙というよりメモが挟んであったりする、それがまたセレスティーヌの心を癒した。
「それは良かった、ねぇセレス庭を案内してくれない?」
「はい、勿論です」
並んで庭を歩く二人
「王弟殿下は身長が高いのですね……」
見上げるほどの身長差だった。
「その王弟殿下と言う呼び方はやめてくれる?私はもうすぐ殿下ではなくなる」
「そうでした」
口を片手で押さえて、失言した事に気がつく。ラルフは臣下に降ることになっている。元々王族だった公爵の家に継ぐものがいない為、ラルフが跡を継ぐ事になっている。
「申し訳ございません」
「いや! そう言う意味ではないよ、私が望んだ事だからね」
「でも、」
「いいから! 気にするな、いいね?」
「アルナンディ公爵様とお呼びします」
「待て! なぜそうなるんだよ……」
「えっ?だ って王弟殿下ではなくなりますし……」
首を傾げ困った顔をするセレスティーヌ。庭の噴水の近くまで来ると、何故か懐かしい気持ちになる。
「あれ? えっと……何か……」
忘れていた懐かしい思い出が……なんだったかしら。