真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬致します。婚約破棄しましょう
「ラルフだよ」
「えっ?」
「昔セレスは私の事をラルフお兄様と呼んでいたんだが……
「ラルフお兄様? ……あっ!」
遠い記憶が甦り、顔が赤くなる。なぜ忘れていたのか……
ラルフはセレスティーヌにとって初恋の相手であり、ファーストキスの相手だった……外国へ行くと言うラルフを思い、泣き、帰ったら会いに来て! と小さい子のわがままで、駄々をこね、可愛らしいキスをした……この場所で!
「どうしよう……恥ずかしくて」
かぁーっと赤い顔を両手で隠す。
「会いに来たよセレスティーヌ、ただいま」
「……おかえりなさい、ラルフお兄様」
「なんで待ってくれなかったのか……サロモンなんかと婚約して……」
はぁっと溜息を吐くラルフ。
「だって……」
「そうだよな、セレスは小さかったからな……それでも可愛いセレスの願いを叶えたかった。私の願いでもある、ずっと君のことを思っていたよセレスティーヌ」
「ラルフお兄様……」
見つめ合う二人。
「ねぇセレスティーヌ、まだ考えられないかも知れないけど、会えない間も君のことを好きだった、いつか気持ちを聞かせてくれる?」
「……はい」
「サロモンの事をまだ好き?」
ふるふると頭を振る。
「そうなのか…?」