真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬致します。婚約破棄しましょう

「あら、まぁ、ふふふ」

「素敵…」

 トルソーにかけてあるドレスに見入る。まるでサファイヤの様な色をした、スッキリとした美しいドレスが用意されていた。ラルフの瞳の色だ。

 それに合わせた首飾りと耳飾りもセットになっていた。嬉しくて泣きそうになった。初めて感じるこの気持ちはなんだろう? 今日あった嫌なことが全部なくなったような気がした。

「あら! セレスちゃんたら……ふふふ、お礼の手紙を書きなさいな、すぐにね!」

「……うん」

 今、自分がどんな顔をしているのか? 泣いているのか、笑っているのかわからない。ただ、母はわたくしを見て嬉しそうな顔をしていた。

 部屋に戻り感謝の言葉と素直に嬉しくて、早くこのドレスを着てラルフに会いたいと手紙に綴った。


 翌日、ラルフからいつものブーケとお菓子、手紙の返事が届いた。

ブーケよりお菓子より、早くラルフからの手紙が読みたくて部屋に駆けつけたら、その後母に小言を言われた…でも耳に入らないほど、浮かれていた。


< 48 / 88 >

この作品をシェア

pagetop