悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「ただ……?」
「……なんでもない。けど、皇太子を返上するなんて言わないで。きっと、フレッドのお父様とお母様が悲しむから」
だって昨日の晩餐会でおふたりは、確かにフレッドとミカエラに慈愛の目を向けていた。フレッドが自ら選んできたからと、私にも温かく接してくれた。あの場では息子を心配する親でしかなかった。
だから、あんなに温かい人たちを私のせいで悲しませたくない。
「……マズいな」
「なにが?」
「ユーリを好きになる気持ちが止められない。毎日、どんどん好きになる」
「へ?」
隣を歩くフレッドが、目元を桃色に染めてうっとりと微笑む。いつの間にか指を絡めて手を繋がれ、指先にキスを落とされた。そのまま囁くように言葉を続ける。
「好きだ。もう絶対に放さない」
指先に感じるフレッドの息吹と、最後に落とされた爆弾で思わず足がもつれてしまった。フレッドは手を繋いだままさっと支えてくれる。
より近くなったフレッドとの距離に、私の心臓はバクバクと激しく鼓動して壊れそうだ。
「……なんでもない。けど、皇太子を返上するなんて言わないで。きっと、フレッドのお父様とお母様が悲しむから」
だって昨日の晩餐会でおふたりは、確かにフレッドとミカエラに慈愛の目を向けていた。フレッドが自ら選んできたからと、私にも温かく接してくれた。あの場では息子を心配する親でしかなかった。
だから、あんなに温かい人たちを私のせいで悲しませたくない。
「……マズいな」
「なにが?」
「ユーリを好きになる気持ちが止められない。毎日、どんどん好きになる」
「へ?」
隣を歩くフレッドが、目元を桃色に染めてうっとりと微笑む。いつの間にか指を絡めて手を繋がれ、指先にキスを落とされた。そのまま囁くように言葉を続ける。
「好きだ。もう絶対に放さない」
指先に感じるフレッドの息吹と、最後に落とされた爆弾で思わず足がもつれてしまった。フレッドは手を繋いだままさっと支えてくれる。
より近くなったフレッドとの距離に、私の心臓はバクバクと激しく鼓動して壊れそうだ。