悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 それなら、大丈夫……なんだろうか。邪神の復活を狙っていないなら、へレーナとして断罪されることはない?

「そう、それならいいけど……ねえ、宮田さんはいつ前世の記憶が戻ったの?」
「そんなの先輩に関係ないでしょ」
「まあ、そうかもしれないけど。ここにいるってことは、その、宮田さんも命を……?」

 そうなのだ。私はおそらくお風呂で溺死、もしくは心臓発作かなにかを起こしたのだろう。ミカは交通事故死。それなら宮田さんも、なんらかの事情で命を落としたことになる。

「あのねぇ、全部、ぜ〜んぶ、先輩のせいだから!!」
「え? どういうこと?」
「私、あの店主に刺されたの! 先輩の代わりに私がガーリーでかわいくお店のリフォームしてあげたのに、私のせいで店が潰れたって、逆恨みされたの!!」

 へレーナの言葉に驚いて言葉が続かない。あの店主さんは頑固だったけど、人を刺すなんて感じじゃなかった。

「そんな……確かにこだわりの強い店主さんだったけど……」
「もう、あんなことになるんなら、わざわざクレームの電話するんじゃなかったわ!」
「……クレーム? どういうこと?」

 へレーナはその美しい顔を歪めて、私に強烈な憎悪の視線を向けた。

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