悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。

17話 いつでも私が一番(へレーナ視点)

     * * *



 中身が白木百合だと名乗った女は、聖女である私を睨みつけて部屋から出ていった。

 この私を睨みつけるなんて、生意気すぎる! この世界でも私は一番綺麗で、一番大切にされているのに!!

「なんなのよ、あの女!! ババアのくせに強がって、マジムカつくーっ!!!!」

 ソファーの上にあったクッションを、力いっぱい扉に投げつけた。私の下僕である神官たちが用意した、テーブルの上にあるカップも水差しもかわいいスイーツも全部手で払いのける。

 ガシャンッと大きな音を立てて、カップも飲み物もスーツもぐちゃぐちゃになった。その無惨な形をみて、ほんの少しスッキリする。
 大きな音を立てたので神官たちが、慌てて私のもとに戻ってきた。

「へレーナ様、なにかございましたか!?」
「なんてことだ、お怪我はございませんか?」
「ああ、そんなに唇を噛んではいけません。私がお慰めしますから、どうか気を沈めてください」

 そう言って、一番お気に入りの神官が私を抱き上げた。お姫様抱っこされて、寝室へと連れていかれる。そっとベッドに下ろされ、耳元で低く甘い声で囁いた。

「今日はどのようにご奉仕しますか?」
「……思いっきり抱いて」
「承知しました」

 神官の熱いキスを受けながら、私は今までのことを思い出していた。





< 124 / 224 >

この作品をシェア

pagetop