悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 前世の記憶が戻ったのは、流行病にかかって一週間寝込んだときだ。高熱と嘔吐で意識が朦朧としている時に、前にもこんなことがあったと死んだ時のことを思い出した。

 それから一気に記憶が蘇って、すぐに私が『勇者の末裔』に出てくる聖女へレーナだって気が付いた。こういう漫画はたくさん読んでたから、転生したんだってわかった。

 聖女の末路はわかっているから、要は邪神を復活させなければいいのだ。私がそういうのにかかわらなければ、断罪されることはない。

 それなら聖女としておいしいところだけ使えばいい。

 それから私は聖女の力を操り、教会に認められ世界を浄化して歩いた。そのうち教会も私のいうことは全部聞いてくれるようになって、その時にやっと私が一番になれたと思った。

 聖女の補佐として神官を選ぶ時は、とにかく顔で選んで夜の相手もさせた。最初は断っていた神官たちも、私が寄り添ってしなだれかかったらすぐに落ちたから、ただやせ我慢してただけみたいだった。

 ますます私に忠誠を誓う神官たちと、帝都を目指し皇帝へ謁見を申し出たのだ。

 だって私が一番になるためには、皇太子と結婚する必要があるから。皇太子妃となって、その後、皇后となれば私の夢は完成する。

< 126 / 224 >

この作品をシェア

pagetop