悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 一番大きな国で、一番高貴な女になる。面倒なことは夫に任せて、好きなだけ贅沢して暮らせるのだ。

 そのためには、絶対に皇太子との結婚は外せない。
 でも。

 先輩がユーリエスになって、なにかが変わっているみたいだ。だって私のもとに邪教の信徒が現れることはなかったし、皇太子はイリスを好きになるはずなのにユーリエスと結婚すると言っていた。

 私も邪神の復活を求めていないから、大きく物語が変わった?
 どう変わったかはわからないけど……これはチャンスかもしれない。私が確実に一番になるために。そうだ、これを使えば皇太子を手に入れられるかもしれない。

 汚れを浄化するのが面倒で放っておいたら、いつの間にか私の中に大きな闇の力が溜まっていた。それは世界中の汚れが凝縮された、混沌の闇だ。

 あれ? もしかして、これで私自身が邪神になったら、この世界が私のものになる?
 皇帝の妻ではなく、私が世界の女王になれる?

 ぞくりと身体が震えた。

< 127 / 224 >

この作品をシェア

pagetop