悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 そうでなくでも『もう二度としません』と言いつつ、裏では浮気相手と切れていなかった。
 クリストファー殿下なら前者のセリフを言いそうだけれど。

 それに今でさえ私が婚約者ということで、クリストファー殿下の政務の手伝いをさせられている。民の血税で生きてるんだから自分でやれよと思うし、なによりも社畜だった私はもう馬車馬のように働くことにうんざりだ。
 一番に愛されない生活も、枯れ草のように潤いのない毎日も、なにもかも。

 そうなると、問題は私がクリストファー殿下の婚約者でいることだ。この先、物語が始まればヒロインが現れ、クリストファー殿下は真実の愛に目覚める。そして私が浮気相手を排除してきた証拠を突きつけ、稀代の悪女だと言って処刑するのだ。

 原作でクリストファー殿下が浮気しまくっていたとか、そういう描写があったかは知らないけれど、私からみたらただの浮気男だ。

 それなら危険を排除して、前世の知識を活かしてお金を稼ぎ、引きこもって悠々自適の生活ができるのでは!?
 ただグーダラして、自由気ままに生きていけるのでは!? それはつまり、夢にまで見た生活の不安のないプロのダラ!!

「決めたわ! 私、ダラのプロになるわ!!」
「……ユーリ様、大丈夫ですか?」

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