悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 私はさらに闇の力を放出して、皇帝の首に黒い霧を巻きつけ締め上げた。

「動かないで。それ以上動いたら皇帝の首を折るわよ」

 そのひと言で騎士たちはぴたりと動きを止める。私はゆっくりと皇帝が座る玉座の前にやってきた。

「ねぇ、宣言して。たった今から私が世界の女王だと」
「ぐっ……!」
「もう、面倒くさいなあ……ま、いいか。とにかく、今から私がこの世界の女王だからね!」

 そう宣言して、闇の力を操り皇帝を玉座から放り出した。その先に闇の力で檻を作って閉じ込める。空席になった玉座に優雅に上品に腰を下ろした。

「へぇ〜、ここから見える景色ってこんななんだ〜!」
「へレーナ様……! さすがでございます。私は貴女様に生涯忠誠を誓います!」
「私もです!」
「僕も……!」

 神官たちはそう言って、順番に私の足に口づけを落とした。

「いいわ、貴方たちは側近にしてあげる。じゃあ、私が世界の女王だってみんなに知らせて」
「承知しました。へレーナ様、他の者たちはいかがなさいますか?」
「うーん、皇帝はこのままで、他は適当にお仕事させといて。そのうちいうこと聞くでしょ」
「かしこまりました」

 これで私が世界で一番だ。やっと夢が叶った……!

 私は玉座を手に入れ、前世も含めて人生で最高の気分に酔いしれた。


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