悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
これは……さすがに初体験だ。半世紀以上生きてるけど、指名手配はされたことがない。
「わかった、まずはユーリの安全が第一だ。リンクも一緒に来てくれ」
「では隠れ家まで先導します」
「頼む」
そこで廊下がなにやら騒がしくなったのが聞こえてくる。言い争うような声だけど、内容までは聞き取れない。フレッドとリンクに手を引かれて皇太子夫婦の寝室へ入り、素早く鍵をかけた。
「ユーリ、皇族と影しか知らない避難経路を使う。少々歩きにくいがこらえてくれ」
「大丈夫よ。あっ、ミカは? ミカはどうなるの!?」
「ミカエラにも専属の影がついてるから大丈夫だ」
「そう、よかった……」
フレッドの言葉に安心して胸を撫で下ろす。リンクがベッドの正面にある絵画の四隅を操作すると静かに壁が回転した。リンクが先頭を歩き、フレッドに手を引かれ暗い階段を下りていく。
「ユーリ、足元に気を付けて」
「ええ、大丈夫。だいぶ慣れてきたわ」
無骨な石で囲まれた通路は暗く、湿った空気が流れている。壁はゴツゴツとしているものの、床は平らなので歩きやすい。リンクとフレッドは急ぎつつも私のペースに合わせてくれて、歩みを遅らせているのは自分だと焦燥感に駆られた。
「わかった、まずはユーリの安全が第一だ。リンクも一緒に来てくれ」
「では隠れ家まで先導します」
「頼む」
そこで廊下がなにやら騒がしくなったのが聞こえてくる。言い争うような声だけど、内容までは聞き取れない。フレッドとリンクに手を引かれて皇太子夫婦の寝室へ入り、素早く鍵をかけた。
「ユーリ、皇族と影しか知らない避難経路を使う。少々歩きにくいがこらえてくれ」
「大丈夫よ。あっ、ミカは? ミカはどうなるの!?」
「ミカエラにも専属の影がついてるから大丈夫だ」
「そう、よかった……」
フレッドの言葉に安心して胸を撫で下ろす。リンクがベッドの正面にある絵画の四隅を操作すると静かに壁が回転した。リンクが先頭を歩き、フレッドに手を引かれ暗い階段を下りていく。
「ユーリ、足元に気を付けて」
「ええ、大丈夫。だいぶ慣れてきたわ」
無骨な石で囲まれた通路は暗く、湿った空気が流れている。壁はゴツゴツとしているものの、床は平らなので歩きやすい。リンクとフレッドは急ぎつつも私のペースに合わせてくれて、歩みを遅らせているのは自分だと焦燥感に駆られた。