悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「まあ、もしかしておふたりはそういうご関係ですの? 確かにフレッドさんは鉄壁のガードで、ユーリエス様を他の殿方からもお守りしていましたものね!」
「さすがレイチェル様ですね。よく見ておられます。やっとプロポーズができて、今は返事待ちなのです」
「やはりそうでしたのね! 通りで視線に熱がこもっていたわけですわ!」

 待って、確かにフレッドを連れてレイチェル様と商談をしていたけど、それは帝国へ来る随分前のことだ。

「え……そんなに前から、ですか?」
「そうですわね。フレッドさんが護衛騎士になってから、しばらく経ってからだと思いますけれど」
「つまり、それくらいユーリをずっと想ってきたということだ」

 フレッドにうっとりとした様子で微笑まれ、レイチェル様はニコニコと楽しげにされ、リンクは我関せずといた様子で窓の外を眺めている。どうにもいたたまれなくなって、慌てて話題を変えた。

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