悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
* * *
イリス嬢から聖剣を受け取った俺はユーリやミカエラを守りつつ、どうやってへレーナを倒し父上と母上を助け出すか考えていた。
考え出したら眠れなくてリビングのソファーに座り、窓から見える月をもう一時間も眺めている。秒針を刻む音だけが響いて、月明かりに照らされた部屋は静まり返っていた。
心の中は無力感であふれ、自分の不甲斐なさに笑うしかない。皇太子として影に守られ逃げているだけだ。聖剣を使えるといっても、へレーナに対抗できるのかやってみなければわからない。
そんな不確定な要素ばかりでは、動くことすらできない。俺が失敗したら、父上も母上もユーリもミカエラもすべてを失ってしまう。
その時、カチャリと扉の開く音がした。
振り返ると、ストールを羽織ったユーリが驚いた様子で声をかけてきた。
「フレッド……どうしたの? もうこんな時間なのに灯りもつけないで」
「考え事をしていたんだ。起こすと悪いと思って灯りはつけなかった」
「なにを考えてたの?」
ユーリは俺の隣にそっと腰を下ろす。ふわりと鼻先を掠める花のような香りに、心がギュッと締めつけられた。
イリス嬢から聖剣を受け取った俺はユーリやミカエラを守りつつ、どうやってへレーナを倒し父上と母上を助け出すか考えていた。
考え出したら眠れなくてリビングのソファーに座り、窓から見える月をもう一時間も眺めている。秒針を刻む音だけが響いて、月明かりに照らされた部屋は静まり返っていた。
心の中は無力感であふれ、自分の不甲斐なさに笑うしかない。皇太子として影に守られ逃げているだけだ。聖剣を使えるといっても、へレーナに対抗できるのかやってみなければわからない。
そんな不確定な要素ばかりでは、動くことすらできない。俺が失敗したら、父上も母上もユーリもミカエラもすべてを失ってしまう。
その時、カチャリと扉の開く音がした。
振り返ると、ストールを羽織ったユーリが驚いた様子で声をかけてきた。
「フレッド……どうしたの? もうこんな時間なのに灯りもつけないで」
「考え事をしていたんだ。起こすと悪いと思って灯りはつけなかった」
「なにを考えてたの?」
ユーリは俺の隣にそっと腰を下ろす。ふわりと鼻先を掠める花のような香りに、心がギュッと締めつけられた。