悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
へレーナは以前にも増して傲慢に、傍若無人になっている。前世ではここまでではなかったのに、この環境がそうさせているのかもしれない。
「何度でも言うわ。へレーナ、このままでは女帝の座すら維持できなくなる。いずれ弱った帝国を周辺国が狙ってくるから——」
「うるさいってば! あんたの話なんて聞きたくないっ!!」
へレーナは耳をふさいで玉座にドカッと腰を下ろす。
ダメだわ……私の声はへレーナに届かない。やっぱり闇の力を浄化しなければどうにもならないのね。
その時、謁見室の入り口がにわかに騒がしくなり、騎士が扉を開くのを待たずに勢いよく開け放たれる。
さらりと揺れる銀の髪、サファイアブルーに煌めく瞳。鋭い眼差しは真っ直ぐに前を見据えて、純白の聖剣を腰に差したフレッドが現れた。
フレッドの姿を目にしたへレーナは、途端に楽しそうな笑みを浮かべて口を開いた。
「やっと来たのね、アルフレッド。随分と遅かったじゃない」
「ユーリ……!」
「フレッド……」
私のもとまで足早に来て、いまだにジンジンを熱を持つ頬を見て、フレッドからピリピリとした魔力が漏れ出す。
「何度でも言うわ。へレーナ、このままでは女帝の座すら維持できなくなる。いずれ弱った帝国を周辺国が狙ってくるから——」
「うるさいってば! あんたの話なんて聞きたくないっ!!」
へレーナは耳をふさいで玉座にドカッと腰を下ろす。
ダメだわ……私の声はへレーナに届かない。やっぱり闇の力を浄化しなければどうにもならないのね。
その時、謁見室の入り口がにわかに騒がしくなり、騎士が扉を開くのを待たずに勢いよく開け放たれる。
さらりと揺れる銀の髪、サファイアブルーに煌めく瞳。鋭い眼差しは真っ直ぐに前を見据えて、純白の聖剣を腰に差したフレッドが現れた。
フレッドの姿を目にしたへレーナは、途端に楽しそうな笑みを浮かべて口を開いた。
「やっと来たのね、アルフレッド。随分と遅かったじゃない」
「ユーリ……!」
「フレッド……」
私のもとまで足早に来て、いまだにジンジンを熱を持つ頬を見て、フレッドからピリピリとした魔力が漏れ出す。