悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
     * * *



 なにがダメだったんだろう。
 どこで失敗したんだろう。

 私は聖女へレーナに生まれて、ただ一番になりたかっただけなのに。

 冷ややかな視線を向けるふたりの騎士に先導されて、私は地下へと続く城の階段を降りていく。手も足も鎖で繋がれて、一歩進むたびにジャリジャリと音がうるさい。
 裸足のまま歩かされているから、足の裏は傷だらけになっていた。

 両方の二の腕と首に、金と赤い石がついた魔道具をつけられている。どうもこれが聖なる力を搾り取る魔道具みたいだ。私に装着すると同時にピッタリサイズに縮んで、どうやっても外すことができない。

「ねぇ、ちょっとゆっくり歩いてよ! これでも私は聖女なのよ!!」
「黙れ! お前は反逆者なんだ! これからはせいぜい人のために役に立て!」
「なによっ! 十分尽くしてきたのに……!」

 聖女として私は大地や水を浄化してきた。それは本当だ。だからこそ、みんな私のいうことを聞いてくれるようになったのだ。その分を取り返してなにが悪いのかまったくわからない。

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