悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
 ボーッとベッドの上で天井を眺めていた。
 目を閉じれば浮かんでくるのはフレッドの嬉しそうな笑顔。優しく細められたサイファイアブルーの瞳。私を包み込む逞しい腕。

「ダメだ……今さら気が付いたってどうにもできないんだから。フレッドはもう……」

 フレッドはもう他の人を選んだのだから。

 こめかみを伝う涙が枕を濡らしていく。
 わかってた。ずっと前から気付いていたのに、見ないふりをしてきた。

 私はフレッドが好きだ。
 心が悲鳴を上げるほど、フレッドが好きだ。
 今でも、きっと、これからも。



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