悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
すると見かねた女将さんが声をかけてくれた。
「ユリちゃん、今日はもう上がりな! 二階の一番奥の部屋を使っていいから、ちゃんと話しておいで。この人が例の人なんだろう?」
「そ、そうなんですが……」
「ほらほら、こんなところでグダグダされたらお客様の迷惑になっちまうから、さっさとおいき!」
少し口は悪いけれど、これが女将さんの優しさだと十分にわかる。フレッドも納得していない様子なのでお言葉に甘えることにした。
二階に上がり左に進んで、一番奥にある部屋までフレッドを案内する。扉を開けてフレッドを先に通したら、腕を掴まれて部屋の中へ引き込まれた。
そのままフレッドはカチャリと鍵をかける。他の人に聞かれたくない内容なので、ありがたい。
この部屋はひとり客用の狭い部屋だけど、ベッドと小さなテーブルと椅子があるから話をするだけなら問題ない。
「あの……フレッドはどうしてここにいるの?」
「それは俺のセリフだ。どうして待っていてくれなかった? どうして姿を消した……?」
フレッドは苦しげに眉をひそめて、感情を抑えるように答えた。それでも声は震えて、語尾は小さくなってゆく。
「ユリちゃん、今日はもう上がりな! 二階の一番奥の部屋を使っていいから、ちゃんと話しておいで。この人が例の人なんだろう?」
「そ、そうなんですが……」
「ほらほら、こんなところでグダグダされたらお客様の迷惑になっちまうから、さっさとおいき!」
少し口は悪いけれど、これが女将さんの優しさだと十分にわかる。フレッドも納得していない様子なのでお言葉に甘えることにした。
二階に上がり左に進んで、一番奥にある部屋までフレッドを案内する。扉を開けてフレッドを先に通したら、腕を掴まれて部屋の中へ引き込まれた。
そのままフレッドはカチャリと鍵をかける。他の人に聞かれたくない内容なので、ありがたい。
この部屋はひとり客用の狭い部屋だけど、ベッドと小さなテーブルと椅子があるから話をするだけなら問題ない。
「あの……フレッドはどうしてここにいるの?」
「それは俺のセリフだ。どうして待っていてくれなかった? どうして姿を消した……?」
フレッドは苦しげに眉をひそめて、感情を抑えるように答えた。それでも声は震えて、語尾は小さくなってゆく。