悪役令嬢は全力でグータラしたいのに、隣国皇太子が溺愛してくる。なぜ。
「それは……フレッドがイリス様に心惹かれたと思ったから」
「俺はそんな素振りも見せてないし、言ってもいない。ずっとユーリが好きだと伝え続けてきたはずだ」
「うん……」
確かにフレッドの言う通りだ。
フレッドはずっと変わらない。なにがあっても、どんな時も、私を優先して大切にしてくれた。
だから、これは私の問題なのだ。
「俺が信じられなかった?」
「違う……いえ、違わないけど、違うの……」
「ユーリ。どんなことでも受け止めるから、ユーリの気持ちを聞かせてほしい」
それなのにフレッドは優しく問いかける。
あんな風に出てきた私を追いかけて、全部受け止めようとしてくれる。
ずっと目を逸らしてきた。前世で受けた傷も、今世で受けた傷も。
私は愛されないのだという現実を。
「——原作で」
「うん」
静かに返してくれるフレッドの声が、臆病者の私の背中をそっと押してくれる。
ゆっくりと、絞り出すように私は話しはじめた。
「原作でフレッドはイリス様を好きになるの。前にコンラッド領へ行った時に、フレッドとイリス様が出会ってしまったから……きっとそうなるんだろうって」
「……そうか」
「だから、邪魔をしたら悪いと思って……前世でも、いつも私は選ばれなかったから……何度も裏切られて……」
思い出すのもしんどくて、俯きながら本当の気持ちを打ち明ける。私は誰かに大切に扱われ、愛してもらえる人間ではないのだ。
「俺はそんな素振りも見せてないし、言ってもいない。ずっとユーリが好きだと伝え続けてきたはずだ」
「うん……」
確かにフレッドの言う通りだ。
フレッドはずっと変わらない。なにがあっても、どんな時も、私を優先して大切にしてくれた。
だから、これは私の問題なのだ。
「俺が信じられなかった?」
「違う……いえ、違わないけど、違うの……」
「ユーリ。どんなことでも受け止めるから、ユーリの気持ちを聞かせてほしい」
それなのにフレッドは優しく問いかける。
あんな風に出てきた私を追いかけて、全部受け止めようとしてくれる。
ずっと目を逸らしてきた。前世で受けた傷も、今世で受けた傷も。
私は愛されないのだという現実を。
「——原作で」
「うん」
静かに返してくれるフレッドの声が、臆病者の私の背中をそっと押してくれる。
ゆっくりと、絞り出すように私は話しはじめた。
「原作でフレッドはイリス様を好きになるの。前にコンラッド領へ行った時に、フレッドとイリス様が出会ってしまったから……きっとそうなるんだろうって」
「……そうか」
「だから、邪魔をしたら悪いと思って……前世でも、いつも私は選ばれなかったから……何度も裏切られて……」
思い出すのもしんどくて、俯きながら本当の気持ちを打ち明ける。私は誰かに大切に扱われ、愛してもらえる人間ではないのだ。